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過去 7

Penulis: 煉彩
last update Terakhir Diperbarui: 2025-10-05 22:55:43

 私が席に戻ると、ランチメニューがすでにテーブルの上にあった。

 今日の日替わりランチメニューは『大葉とたらこのパスタ』

 スープとサラダが付いている。

 ランチのみ、プラス二百円でドリンクも選べるようだった。

「美味しそう!」

 大葉の香りが食欲をそそる。

「食べてみて?」

 彼の言葉を聞き

 「いただきます」

 一口、口の中に運ぶ。

「んっ!美味しい」

 ···美味しかった。

 加賀宮さんはランチボックスを開け、美和さんが作ってくれたおかずを口の中に運んだ。

 ちょっとドキドキする。

 加賀宮さんを騙しているわけではないが

「美月、この前より料理が上手になった?」

 なんて言われたらどうしよう。

 彼の様子を伺う。

 一口、さらに一口食べ。無言。

 卵焼きを食べ終わった後に、一回箸を置いた。

「これ、美月が作った弁当?」

「えっ、どうして?」

 うーんと彼は唸り

「なんか違う。俺の好きな味じゃない。卵焼きも全然違う」

 箸は止まったままだ。

「それ、家政婦さんが作ってくれたお弁当なの」

 私がそう伝えると

「なんだ。美月の作った弁当、食べれると思ったのに」

 彼の目線が鋭くなった。

「私の料理なんて、···食べただけでしょ?どうして違う人が作ったってわかったの?」

 毎日食べているのなら、違いがわかるかもしれないけど。

「このおかずは味が濃い。なんか雑。下処理とかしてない」

 なんか雑って、どういうことだろう。

 彩りだって綺麗だし、私もほぼ毎日美和さんのご飯食べているけど、不味いと感じたことはない。

「俺、残すの嫌いだから食べるけど」

 その後、彼の箸は止まらなかった。

「今度、美月が作った弁当食べたい。作ってきて」

「へっ?」

 なにそれ。

 美味しいお弁当くらい、加賀宮さんならすぐ買えるのに。

「俺が弁当食べたいって言うのは本音だけど。テイクアウトのプレートも考えてるんだ」

 なんだ、そういう理由か。

「わかった。今度考えて、作ってくる」

 <加賀宮さんに協力する>そう言った事情なら、孝介だって何も言えないだろう。

「食材にかかる費用は、俺が出すから」

「うん。ありがとう」

 ちゃんとそこまで考えてくれてるんだ。

「それで、美月はこのパスタ食べて、どう思った?」

「えっと、普通に美味しいなって」

「具体的に?」
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  • Love Potion   過去 7

     私が席に戻ると、ランチメニューがすでにテーブルの上にあった。  今日の日替わりランチメニューは『大葉とたらこのパスタ』 スープとサラダが付いている。 ランチのみ、プラス二百円でドリンクも選べるようだった。「美味しそう!」 大葉の香りが食欲をそそる。「食べてみて?」 彼の言葉を聞き 「いただきます」 一口、口の中に運ぶ。「んっ!美味しい」  普通に美味しかった。 加賀宮さんはランチボックスを開け、美和さんが作ってくれたおかずを口の中に運んだ。 ちょっとドキドキする。  加賀宮さんを騙しているわけではないが「美月、この前より料理が上手になった?」 なんて言われたらどうしよう。  彼の様子を伺う。  一口、さらに一口食べ。無言。 卵焼きを食べ終わった後に、一回箸を置いた。「これ、美月が作った弁当?」「えっ、どうして?」 うーんと彼は唸り「なんか違う。俺の好きな味じゃない。卵焼きも全然違う」 箸は止まったままだ。「それ、家政婦さんが作ってくれたお弁当なの」 私がそう伝えると「なんだ。美月の作った弁当、食べれると思ったのに」 彼の目線が鋭くなった。「私の料理なんて、あの時食べただけでしょ?どうして違う人が作ったってわかったの?」 毎日食べているのなら、違いがわかるかもしれないけど。「このおかずは味が濃い。なんか雑。下処理とかしてない」 なんか雑って、どういうことだろう。 彩りだって綺麗だし、私もほぼ毎日美和さんのご飯食べているけど、不味いと感じたことはない。「俺、残すの嫌いだから食べるけど」 その後、彼の箸は止まらなかった。「今度、美月が作った弁当食べたい。作ってきて」「へっ?」  なにそれ。 美味しいお弁当くらい、加賀宮さんならすぐ買えるのに。「俺が弁当食べたいって言うのは本音だけど。テイクアウトのプレートも考えてるんだ」 なんだ、そういう理由か。「わかった。今度考えて、作ってくる」 <加賀宮さんに協力する>そう言った事情なら、孝介だって何も言えないだろう。「食材にかかる費用は、俺が出すから」「うん。ありがとう」 ちゃんとそこまで考えてくれてるんだ。 「それで、美月はこのパスタ食べて、どう思った?」「えっと、普通に美味しいなって」「具体的に?」

  • Love Potion   過去 6

     次の日――。「失礼します。はじめまして。九条と申します。よろしくお願いします」 昨日教えてもらったスタッフの控室に入り、中に居た数人のスタッフさんに挨拶をした。 その中には、女性リーダーの藤田さんも居て「昨日はありがとうございました!よろしくお願いします」 明るく声をかけてくれ、他のスタッフさんへ私を紹介してくれた。「今日は、モニターとして実際にお店の雰囲気を見学していただければと思います」 そう言われ、お客さんが座る席へ案内される。「何かあったら遠慮なく言ってくださいね?」 ニコッと藤田さんが笑ってくれた。 藤田さんも綺麗な人だな。 ミディアムくらいの髪の毛をしっかりと結び、お化粧もそんなに濃くない。清潔感のある人。 席に置いてあるメニューを見たり、お客さんの雰囲気などを見て、気づいたことがあったらメモを取っていた。 一人の人が多いな。 お店のBGMは落ち着いた雰囲気だ。 今のところドリンクメニューを頼んで、長時間滞在している人が多い。 本を読んだり、タブレットを見たり、パソコンを開いてたり。 それがランチになると雰囲気がガラリと変わった。 オフィス街ともあり、ランチメニューを頼んで、すぐ食べて帰る人ばかり。 男の人も増えるんだな。 スタッフさんも忙しそうだ。 簡単に作れて、男性もお腹いっぱいになるようなカフェメニュー……。 実際に現場に来て、いろいろ感じることがあった。 ランチも落ち着き、お客さんが少なくなった頃――。 メモを取っていると「すみません。隣、座っても良いですか?」 その声にビクっと身体が反応した。声の主を見る。「お疲れ様です。加賀宮社長」 他のスタッフさんの手前「驚かさないでよ!」と言うわけにもいかない。「お疲れ様です」 加賀宮さんは私の隣に座った。 加賀宮さんの姿を見て、リーダーの藤田さんが「お疲れ様です。どうしたんですか?」 すぐ駆け寄り、加賀宮さんに声をかけた。「お疲れ様です。連絡もなしに、すみません。今日は九条さんが二日目と言うことで、せっかくなので、ベガのランチを一緒に食べようと思いまして。九条さんにも事前に伝えるのを失念してしまいました」 微笑む彼は、柔らかな雰囲気、偽りの加賀宮さんだ。 「そうなんですね!今からランチメニューをご用意します。日替わり

  • Love Potion   過去 5

    「美月に加賀宮社長とか言われるの、不思議な感じした」 耳元で彼が話す。「私だって、九条さんとか言われるの、不思議だった。て言うか、嫌だった。加賀宮さんには、名前で呼んでほしい」 素直に伝えている自分がいる。「俺に……。少しは心開いてくれたの?」「少し……ね」 加賀宮さんは、私の働きたいと言う希望を叶えてくれた。 どんな理由なのか、どうして私にそこまで関わろうとするのか、まだまだわからないことだらけだけど、今の自分にとって、あの家から出ることは救いだ。 だから正直に答えたのかもしれない。「少しでもいい」 一言、彼がそう呟いたあと、抱き起こされた。「これは真面目な話なんだけど、メニューの資料、ありがとう。あとでゆっくり見るから。ここまでしてくれるなんて、思ってなかった」 あっ、良かった。 私も気になっていたこと。「ごめんなさい。今時手書きでノートとか……」「本当はできるんだろ?苦手とか言ってたけど、基本的なパソコンスキルがないと、前の会社の事務なんて勤められないことくらいわかる。あいつが自分のパソコンとか使わせるとは思えなかったから……」 わかってくれてたの?「できることをやろうとしてくれた姿勢、俺は好きだから」 なんか、上司に褒められたみたいで嬉しい。「ありがとう」 それ以上の言葉が出てこなかった。 その後、彼の運転でベガへ移動し、店内の説明を受けた。 しばらく見学をし、その日は帰宅することになった。 明日からは直接ベガへ行くことになる。  加賀宮さんは<別件がある>と言って、途中移動してしまったが「何かあったら遠慮なく相談してくださいね」 別れる時、余所行き用の言葉を私に残してくれた。  孝介が居るはずの自宅へ帰宅する。 リビングへ向かい「ただいま」 声をかけた。 テレビの音がする。 孝介がソファに座っていた。「どうだった?」 もちろん<おかえり。お疲れ様>なんて言葉はかけてくれなかった。「今日は本社で説明を受けたあと、カフェに移動して、お店の中を見せてもらったくらい」「あっそ。なら良かったけど。何かあったら、事前にちゃんと報告しろよ」 孝介が言う<何かあったら>は、九条家の評価を下げるようなことをしてしまったらという意味。 私のことを心配して言っているわけではない。

  • Love Potion   過去 4

    「以上になりますが、何かご質問などはありますか?」 加賀宮さんは少し首を傾けた。 そんな動作も加賀宮さんの素を知らなかったら<素敵!>だと思ってしまいそう。「いえ。ありません。ありがとうございます」「では、これからベガへ移動をして……」 あっ。一応、現場に行く前に見せた方が良いよね。 私はバッグの中から自分なりにまとめた資料を取り出し、提示した。「加賀宮社長、御社のホームページなどを拝見させていただき、メニューについてはいくつか考えてきたものがあります。使用する食材、カロリー計算、作業工程など簡単にはなってしまいますが、まとめてきました。申し訳ございません。私、パソコンが苦手で。全て手書きになってお見苦しい点もあるのですが……」  そう伝えたが、パソコンが苦手なわけではない。 自宅には私が使って良いパソコンやタブレットがない。 孝介に買ってほしいとも言えなかった。  漫画喫茶とか、考えたけど、孝介が工面してくれるわけなかった。 相談したけど<お前、調子に乗るなよ。メニューができたら、はい、さよなら。の一回だけの依頼だろ。九条グループと親密になりたいから、加賀宮さんもお前なんか雇ってくれたわけで。もしそういうの使いたいなら、加賀宮さんに頼めよ。無駄な出費になるだけだし、俺は出さないよ> 予想はしていたが、私の頼みを聞いてくれるわけなかった。 加賀宮さんはメガネの奥で一瞬、目を見開いた。 <加賀宮社長>などと呼んだからだろうか。 私も呼んでみて、なんか気持ち悪かったけど、馴れ馴れしくするのも間違っている気がする。あくまでこれはビジネスだ。  しかしすぐにパッと彼は微笑み「ありがとうございます。ぜひ、拝見させていただきます」 私が提示したノートに目を通してくれている。 心の中の本音は、どう思ってるんだろう。「素晴らしいですね。事前にここまで調べてくださり、ありがとうございます。こちらのノート、一旦お預かりして、データを取っても良いですか?共有したいので」「はい。もちろんです」 そうだよね、データだったら印刷とか簡単にできるのに。 誰かの雑務、増やしちゃったかな。  その後、実際にベガへ移動して、店内の説明を受けることになった。「九条さんは、私と一緒の車で移動をします。平野リーダーと藤田

  • Love Potion   過去 3

    「お待たせしました。よろしくお願いします」 車の隣で待っていてくれた亜蘭さんに挨拶をする。「こちらこそ。よろしくお願いします」  唯一、加賀宮さんが素を出せる人だって言ってたけど。亜蘭さんは何も教えてはくれない。 車の中はしばらく無言だったが「緊張してますか?」 亜蘭さんの方から話しかけてくれた。「はい、ちょっとだけ緊張してます。でも、楽しみです。加賀宮さんが外に出る機会を作ってくれて。私で役に立てるのであれば、一生懸命頑張ります」 きっと亜蘭も全て知っていると思った。 九条家のこと、遠坂家のこと、私と孝介との関係。「そうですか。この後、加賀宮さんも本社で合流予定です。それまでは俺が付き添わせていただきますので。何か不明な点などありましたら、気軽におっしゃってください」  今日、加賀宮さんも来るんだ。「はい。ありがとうございます。よろしくお願いします」  しばらく車を走らせると、とある高層ビルの地下駐車場に車は停まった。「着きました。ここの三十一階がうちの本社です」 あれ?てっきり、加賀宮さんに初めて連れて行かれたところが本社だと思ってたんだけど。違うんだ。「あの、前に連れて行かれたところが本社じゃないんですか?」 変な伝え方しちゃったけど、間違ってはいないよね。「あぁ。あそこは違います。美月さんが行ったビルは、あくまで加賀宮さんのプライベートオフィスです。これは一応、社員には公表していませんので、秘密にしておいてくださいね」 加賀宮さん、そんなオフィスまであるの? 本社にだって、社長室みたいなところがありそうなのに。「わかりました」 ただ返事をするだけしかできなくて、亜蘭さんの後ろをついて行く。 エレベーターに乗り、彼がノックをした部屋に入る。 会議室みたいな雰囲気。そこには私と同い年くらいの男性と女性の姿があった。 入室すると、二人とも立ち上がり「はじめまして」 声を揃えて挨拶をしてくれた。「はじめまして」 私が返事をすると「こちらが、美月さんに協力をしていただくカフェ、<ベガ>のリーダー二人です」 リーダー、責任者ってことだよね。 二人とも私と同い年くらいなのに、リーダーなんだ。 「はじめまして。平野です。よろしくお願いします」 男性のリーダー、平野さんが名刺を渡して

  • Love Potion   過去 2

    <ただ……。キツイこと言うかもしれないけど。美月に給料を渡したって、どうせ孝介が管理するんだろ。それは美月が一番よくわかってるよな?俺はあいつが自分の金として使うだけだと思っている> そうよね。私に支払われるお金ではない。  振り込まれても、すぐに孝介が全て自分の口座に移すに決まっている。<だから、美月が申し訳ないとか考えなくていいんだよ> 何も言えない。でも、加賀宮さんの言葉に心が軽くなった。「うん。わかった」 電話を切る。  私が働いても、私のお金にはならない。  私もこうやって生活ができているのは、孝介のおかげだと考えなきゃいけないの? そんなのやっぱり、イヤ。  自分の希望が何一つとして叶わない、居場所のない家。ここから抜け出したい。    そう思ってしまった。 一週間後――。    初めて出勤する日を迎えた。  少し緊張してしまう自分がいる。    初日のため、時間になったら秘書の亜蘭さんがマンションの前まで迎えに来てくれるというVIP待遇だ。あれから加賀宮さんとは会っていない。    今日は、孝介がたまたま休みだった。「行ってくるね?」 ソファでスマホを見ている孝介に声をかける。「絶対に九条の名前を汚すなよ。ちゃんと料理の勉強はしたんだろうな?父さんも賛成だったから止められなかったけど、心配だよ。お前、鈍臭いからな。お前が失敗すると、俺のイメージまで悪くなる。何かあって謝るのは、俺と父さんなんだからな」 はぁ……。  心の中でため息が出た。  料理教室に通いながら、一人で料理の勉強もしたし、カフェのホームページから現在あるメニューを覚えて、私なりに何品か試作してる。  成分表だって考えた。努力はしたつもり。 私だって、結婚前は普通に働いてたんだもん。  自分にできることくらいはやる。  こんなことを孝介に言い返しても、倍になって返ってくるだけなんだろうな。 その時、インターホンが鳴った。美和さんだ。  エントランスの解錠ボタンを押し、挨拶をする。    私が居ない時にまた、私のベッドで……。  孝介と美和さんが浮気をしていることは、もう何も思わない。ただこの前のように、二人がいつも私が寝ているベッドで身体を重ねているとこ

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